俺は“足の下”で敗北を認めた

俺は“足の下”で敗北を認めた

俺は“足の下”で敗北を認めた20代男子の告白


付き合って半年になる彼女は、ちょっと変わった趣味を持っている。
学生時代にブラジリアン柔術をやっていたらしく、今でも週に一度、道場に通っているという。


最初は正直「へぇ〜」くらいの感覚だった。

格闘技に興味なんてなかったし、まさかそれが“こんな形”で俺の人生に関わってくるなんて、夢にも思わなかった。
それは、ある週末の午後。
俺の部屋でのんびり過ごしていたとき、彼女がふとこんなことを言い出した。


「ねぇ、一回だけ試してみる? 私がどれくらい強いか」


笑いながら言う彼女に、俺も冗談半分で「いいよ」と返した。
部屋に敷いていたラグの上、軽くふざけるようなテンションで向かい合う。
そのときの俺は、完全に甘く見ていた。


「始めるよ」


その声と同時に、彼女の手が俺の片腕をとらえる。
次の瞬間、体ごと引き倒され、床に背中を打った。


「はっ?」と思う間もなく、彼女は俺の胸の上に乗り、あっという間にマウントポジションを取ってきた。


「うそ、ちょ、早っ……!」


足を使って逃れようとしたが、彼女の太ももが腰をしっかりホールドしていて身動きが取れない。
しかも、彼女は涼しい顔をしている。


「まだ本気出してないんだけどなぁ」


そう言って笑う彼女の目が、妙に自信に満ちていた。
俺は腕を使って押し返そうとしたが、両手首をがっちりと床に押さえ込まれた。
力を入れても抜けない。女性相手に……いや、“彼女”相手に、俺は何もできなかった。


「降参は?」


「……まだ!」


そう答えたものの、次の瞬間、彼女は体勢を変えて、俺の顔の上に足を持ってきた。
裸足の裏が、軽く俺の頬に触れる。


「じゃあ、これでどう?」


彼女の足の裏が、俺の顔をそっと押しつけるように踏む。
強くはない。でも、支配的で、抗えない。心がざわつく。


「顔で負け、認めちゃう?」


その言葉が、頭の奥でこだまする。
屈辱的なはずなのに、なぜか心拍数が上がっていた。
全身から汗が吹き出すような感覚。呼吸が浅くなり、抵抗する力も抜けていった。


「わかった……降参……」


それだけをかろうじて吐き出した。
彼女はにっこり笑って、足をどけた。
俺はそのまま、ラグの上に仰向けになって、動けなかった。
全身が重く、心は不思議なほどに軽く、そしてなぜか、興奮していた。


「ちゃんとやったら、私のほうが強いって言ったでしょ?」


そう言って、彼女はペットボトルの水を飲みながら、普通の顔で横に座っていた。
あのとき、俺は初めて知った。
力じゃない。性別でもない。ただ、支配されることの“意味”を。


そして何より――
俺は、自分がどんなフェチを抱えていたのかを、彼女の足の下で初めて知ったのだった。



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