第5話 空手女子の猛攻

第5話 空手女子の猛攻

ジムに足を踏み入れた瞬間、胸の奥が冷たく締め付けられる。
 前の週、山田響子との連戦で心身がボロボロになった凛久に、今日新たな試練が待っていた。


 リングの中央で構えているのは、空手女子。
 長い黒髪を一本にまとめ、引き締まった体は柔軟かつ筋肉質。身長は165cm前後だが、蹴りの威力は凄まじいと評判だ。
 視線を合わせた瞬間、凛久は本能的に後退したくなるが、トレーナーが制止する。


 「凛久くん、今日はこの子とのスパーから始めよう」


 ゴングが鳴る。
 空手女子は構えを崩さず、一歩で距離を詰めた。
 ジャブではなく、蹴りからの先制攻撃。


 「っ……!」
 太ももに蹴りが直撃し、膝からガクンと崩れる。まだ試合開始15秒も経っていない。
 だが、立ち上がらなければならない。胸の奥で何かが叫ぶ。


 次の瞬間、中段回し蹴りが飛んできた。
 防ごうとした手は軽く触れただけで弾かれ、顎に直撃。意識が一瞬飛び、頭の中が白くなる。
 膝をついたまま、リングのマットを手で押さえる。


 「力抜いてるだけなんだけどね?」
 彼女の声は冷静で落ち着いている。しかし拳ではなく足が僕を打ち倒す。
 1~2発でKO、時間はたったの15秒以内。


 膝から崩れ、息を切らせながら立ち上がる。
 リングサイドの仲間たちは、驚きとため息で見守るだけ。
 「……またか……」
 呟きながらも、立ち上がるしかない自分。


 ゴングが再び鳴る。
 空手女子は同じ構えで僕を見つめる。
 蹴り、蹴り、膝蹴り――防ごうとする腕をすり抜け、膝が再びマットに落ちる。


 15秒、1~2発で再びKO。
 呼吸は荒く、全身が痛い。だが立ち上がるしかない。


 その日、数セットを繰り返すうち、凛久の膝や胸板、腹筋は痛みに悲鳴を上げ、顔は汗と血でぐちゃぐちゃになる。
 それでも空手女子の蹴りは正確で、間合いは常に完璧。
 防ごうとすればするほど、体力が奪われ、屈辱感だけが心に積み重なる。


 前回のKOで膝から崩れたまま、凛久はリングの端に座り込む。
 息は荒く、頭の中は痛みでぼんやりしている。
 しかし、空手女子は変わらず冷静な表情で待っていた。


 「次、いくよ」
 一言で、再びゴングが鳴る。


 初撃はやはり蹴り。
 太ももへのローキックがズシンと響き、体が揺れる。立ち上がろうとする膝が折れ、マットに膝をつく。
 次の瞬間、中段回し蹴りが顎を捉え、意識がふわりと浮く感覚。
 時間はわずか12秒。またKO。


 立ち上がると、体中の筋肉が重く、痛みで震える。
 顔は汗と血でぐちゃぐちゃだ。だが、空手女子は一歩も引かず、再び構えを整える。


 「力抜いてるだけだよ」
 優しい声。しかし、その蹴りの威力は言葉とは裏腹。
 膝がマットに落ちるたび、凛久の心に屈辱が刻まれる。


 数分後、2セット目。
 蹴りとパンチを混ぜた連続攻撃。ローキック、ハイキック、膝蹴り、そしてストレート。
 凛久は防ごうと手を出すが、ほとんど当たらず、受けるたびに体が跳ねる。
 15秒以内に再びKOされ、リングに倒れ込む。


 観客席の仲間たちは息を呑む。
 「……マジで、1~2発で倒されてる……」
 「立ち上がれるのか……」
 失笑と驚愕が混じる声が耳に刺さる。


 しかし、立ち上がるしかない。
 膝をつき、腕で体を支え、呼吸を整える。
 空手女子は構えを崩さず、微笑みながら待つ。


 ゴングが鳴るたびに、蹴りとパンチが飛ぶ。
 1試合1~2発、15秒以内のKOが続く。
 連続する短時間決着で、体力は極限まで削られ、心も萎縮していく。


 膝にたまる痛み、腹に響く蹴り、顔面への回し蹴り――
 どれも致命的ではないはずだが、1~2発で意識が飛ぶ凛久には十分すぎる。


 「まだ立ち上がれる……」
 自分に言い聞かせながら、膝を支え、なんとか立ち上がる。
 しかし、体中の力は抜け、頭の中は白い。
 短時間KOの連続は、精神的に体力の何倍も疲弊させる。


 数セットが終わった後、凛久はリングの隅で座り込む。
 空手女子は手を差し伸べるでもなく、ただ構えを維持している。
 その静かな圧力だけで、凛久は再び膝を折る。


 ――こうして、短時間KOの連戦は数週間にわたり繰り返された。
 15秒以内、1~2発で倒される日々。
 観客や仲間たちは、毎回同じ光景を見て、驚きと失笑を繰り返す。


 膝をつき、呼吸を荒くし、血と汗で顔をぐちゃぐちゃにしながら立ち上がる凛久。
 しかし、空手女子は変わらず正確無比な蹴りを繰り出す。
 防ごうとすればするほど、屈辱感と無力感が心に積み重なる。


 ――立ち上がるしかない。
 倒されるたび、体力もプライドも削られ、屈辱だけが残る。


 数週間にわたる短時間KO連戦は、凛久の体と心を徹底的に追い詰めていた。
 膝の痛み、腹の痛み、顔面への打撃――すべてが積み重なり、立ち上がる力さえも削がれている。


 今日もリングの中央に立つと、空手女子は冷静に構えて待っていた。
 長い黒髪が背中に揺れ、引き締まった腕や脚からは、静かな圧力が放たれている。


 ゴングと同時に、一歩で距離を詰められる。
 ローキックが太ももに直撃し、膝がマットに触れる。まだ開始10秒も経っていない。
 立ち上がろうとするも、蹴りが腹部に入り、全身が跳ね上がる感覚。


 「だ……だめ……」
 声にならない呻きが口から漏れる。
 しかし空手女子は一歩も構えを崩さず、回し蹴り、膝蹴り、そしてストレートを混ぜたコンビネーション。
 1~2発でまたもKO。時間はわずか12秒。


 膝をついたまま、マットを握る手が震える。
 顔には汗と血、唇からは微量の血が滲む。
 しかし、立ち上がらねばならない。これが毎日の絶望的日常だった。


 次のセット。
 空手女子は蹴りのバリエーションを増やしてくる。
 中段回し蹴り、ハイキック、膝蹴り、下段ローキック――防ごうとすればするほど力が奪われる。

 15秒以内にKOされるたび、プライドは粉々に砕け、心は萎縮する。
 観客や仲間たちは無言で見守るか、驚きと失笑を漏らすだけ。
 凛久はその視線にさらに屈辱を感じながら、膝をつき、再び立ち上がる。


 連戦が続くうちに、呼吸は荒く、全身の筋肉が重く感じられる。
 蹴りやパンチを受けるたびに、脳裏に白い光が走る。
 だが、立ち上がることを諦められない。
 「……まだ……立つ……」
 かすれた声で自分を鼓舞しながら、膝を支え、体を起こす。


 最後のセット。
 空手女子は微笑みながら、これまで通り正確無比な蹴りを放つ。
 ローキック、中段回し蹴り、ハイキック――次々と体に衝撃が加わる。
 凛久は耐えようと腕を構えるが、力はすでに残っていない。


 そして、最後の一撃。
 膝蹴りが腹に入り、回し蹴りが顎を直撃。
 意識がふわりと浮き、目の前が白くなる。
 膝をつく間もなく、マットに倒れ込む。


 ゴングが鳴る前、リング上の時計は15秒弱を示していた。
 立ち上がる力も、反撃の余力も、もはや残っていない。


 空手女子は手を差し伸べるでもなく、ただ構えを保つ。
 その静かな圧力だけで、凛久は完全に打ちのめされていた。


 膝をつき、荒い呼吸を整えながら、血と汗でぐちゃぐちゃの顔を上げる。
 仲間たちの視線、ため息、失笑――すべてが心に突き刺さる。
 しかし、これが現実だった。


 ――短時間KO連戦の果て、立ち上がることすら困難な日常。
 凛久は、空手女子の圧倒的強さの前で、体も心も限界まで追い詰められた。
 そして読者には、この屈辱と絶望の極限が、強烈に印象づけられる。


 今日もまた、立ち上がるしかない。
 倒されるたび、力とプライドを奪われ、残るのは屈辱だけ。