第9話:意地の灯火――村田悠介、再び土俵へ

第9話:意地の灯火――村田悠介、再び土俵へ

土俵の中央に立つのは村田悠介、29歳。


身長162センチ、体重44キロ。


格闘経験は全くない、ごく普通の会社員だ。


しかし彼の目は鋭く光り、何度も敗北を味わいながらも諦めない強い意志があった。


対するは、華ノ峰の強豪、橘真奈美。


身長171センチ、体重76キロ。


動きは重く力強く、それでいて繊細な技術を兼ね備える選手だ。


「はっけよい、のこった!」


号令と共に二人が激しくぶつかる。


村田は体を低くし、必死に橘の体を捉えようとするが、


体格差と力の差は圧倒的で、何度も押し戻されてしまう。


息が荒くなりながらも村田は声を振り絞った。


「俺は男だ…ここで負けられない!」


相手の鋭い押しに耐え、隙をついて体をひねり、なんとか押し返そうと試みる村田。


だが橘は冷静に重心を変えながら、動きを封じていく。


やがて決定的な一撃が訪れた。


橘の強烈な内掛けが決まり、村田の体は宙を舞い、土俵外へと転がり落ちた。


「勝負あり! 白方・橘真奈美!」


土俵外に倒れこんだ村田は、震える手で顔を覆った。

「男として……こんなにも無力なのか……」


悔しさに押しつぶされそうになりながらも、彼の瞳にはまだ消えない闘志があった。


控室では静かな空気が流れ、塾生たちは互いに目を合わせる。


佐伯塾長が口を開いた。


「敗北が続いているが、それを乗り越えるのが剛塾の真価だ。諦めるな。」


村田はうつむきながらも、次への決意を胸に刻んだ。


次なる挑戦者がまた土俵に向かう日も、遠くない。