

土俵の中央に立つのは村田悠介、29歳。
身長162センチ、体重44キロ。
格闘経験は全くない、ごく普通の会社員だ。
しかし彼の目は鋭く光り、何度も敗北を味わいながらも諦めない強い意志があった。
対するは、華ノ峰の強豪、橘真奈美。
身長171センチ、体重76キロ。
動きは重く力強く、それでいて繊細な技術を兼ね備える選手だ。
「はっけよい、のこった!」
号令と共に二人が激しくぶつかる。
村田は体を低くし、必死に橘の体を捉えようとするが、
体格差と力の差は圧倒的で、何度も押し戻されてしまう。
息が荒くなりながらも村田は声を振り絞った。
「俺は男だ…ここで負けられない!」
相手の鋭い押しに耐え、隙をついて体をひねり、なんとか押し返そうと試みる村田。
だが橘は冷静に重心を変えながら、動きを封じていく。
やがて決定的な一撃が訪れた。
橘の強烈な内掛けが決まり、村田の体は宙を舞い、土俵外へと転がり落ちた。
「勝負あり! 白方・橘真奈美!」
土俵外に倒れこんだ村田は、震える手で顔を覆った。
「男として……こんなにも無力なのか……」
悔しさに押しつぶされそうになりながらも、彼の瞳にはまだ消えない闘志があった。
控室では静かな空気が流れ、塾生たちは互いに目を合わせる。
佐伯塾長が口を開いた。
「敗北が続いているが、それを乗り越えるのが剛塾の真価だ。諦めるな。」
村田はうつむきながらも、次への決意を胸に刻んだ。
次なる挑戦者がまた土俵に向かう日も、遠くない。