


王城の広間。若き王子ルカが剣の稽古を終えると、隣で黙って見守っていたのは、国一番の女戦士イリーナだった。
「動きは悪くない。だが、もう少し力強く踏み込め。」
イリーナは鋭い目でルカを指導するが、その声にはわずかに優しさが滲んでいた。
「はい、イリーナ様!」ルカは元気よく返事をした。
二人の間には、厳しい上下関係がある。建前上、イリーナは王子の部下だ。
しかしその大きな背と凛々しい姿に、ルカは時に守られているような安心感を抱いていた。
一方、イリーナの心は揺れていた。
23歳の強き戦士でありながら、王子に対する想いは誰にも言えぬ秘密の乙女心。
「ルカ殿の命を預かる身。守ることが私の全て」
そんな誓いと、秘めた恋心を胸に、今日も彼女は剣を握った。
王子の不器用な笑顔に、イリーナの頬はほんのりと赤らむ。
だが、感情は決して表に出さず、冷静に稽古を続けるのだった。