


城の闇が静かに広がり、月明かりが窓辺を照らす。
ルカ様の寝室の扉の前に、イリーナは静かに立っていた。
重厚な鎧を脱ぎ、戦士としての厳しさを一旦脇に置いた彼女は、一人の乙女として、王子様を見守っていた。
「今日も無事で良かった……」
ゆっくりと息を吐き、そっと部屋の扉を開ける。
ルカ様は布団に横たわり、疲れた様子で目を閉じていた。
イリーナはそっと近づき、静かに声をかける。
「ルカ様、今日の稽古、お疲れ様でした」
その声に、ルカ様はゆっくりと目を開け、微笑んだ。
「イリーナ……ありがとう。君がそばにいてくれるから、僕は強くなれる」
二人の距離が少しだけ縮まる。
イリーナは目を伏せ、心の中の揺れを隠すように言った。
「私は、ただ王子様のために全てを捧げるだけです……」
ルカ様はそっとイリーナの手を取り、温かさを感じる。
「イリーナ、君はただの部下じゃない。僕にとって大切な存在だ」
その言葉に、イリーナの胸は高鳴る。
しかし、彼女は冷静さを保とうとし、目を背けた。
「……そんなこと、口に出してはいけません」
ルカ様は静かに笑い、近づいた。
「でも、僕は言いたい。君と共にこの国を守りたい」
二人の間に、初めて訪れた静かな時間。
その夜、城の闇は彼らの絆を包み込んでいった。