

マディー・リプリー(メイン州)―男子を制した二冠王者
メイン州の沿岸部に位置するオーシャンサイド高校。この学校の女子レスラー、マディー・リプリーは、2024年から2025年にかけて全米のレスリングファンの間で一躍有名になった。理由は単純かつ衝撃的——彼女は男子の州大会で優勝し、そのうえ女子部門でも頂点に立つという二冠を達成したからだ。

マディーが戦ったのは113ポンド級。軽量級は体格差が小さく、技術とスピードの比重が大きい階級だ。しかし男子相手となれば、筋肉量や爆発的なパワーではどうしても不利になる。その中で彼女が勝ち抜くために磨き上げたのは、「技術の正確さ」と「試合運びの緻密さ」だった。
彼女の得意技は、相手の動きを誘い出してからの素早いシングルレッグタックル。そして相手の体重移動を察知して仕掛けるリバーサル(体勢逆転技)である。男子選手の攻撃力を逆手に取る戦術が光った。
2024年のメイン州男子113ポンド級州選手権。予選では危なげなく勝ち上がったが、準決勝からは州上位ランカーとの連戦が待っていた。準決勝では、第1ピリオド終盤に見事なカウンターを決めてポイントを奪取。その後は守りに徹し、相手に得点を許さず勝利。観客席からは「信じられない!」という声とともに拍手が沸き起こった。
決勝戦の相手は前年の準優勝者で、力強いタックルと上半身のクラッチ技術を武器とする強敵だった。第1ピリオドは互いに無得点で終了。第2ピリオド、マディーは下からの立ち上がりを狙い、素早いエスケープで先制点を奪う。その後も相手のタックルをスプロールでかわし、終盤には逆にタックルを決めて追加点。最終スコアは3–0。男子の頂点を女子選手が奪う瞬間だった。
男子部門制覇からわずか数日後、彼女は女子部門にも出場。そこでは男子戦で培った厳しい攻防が功を奏し、危なげなく勝ち進んだ。決勝では第1ピリオドでテクニカルフォール勝ち(15点差による試合終了)を決め、堂々の二冠を達成した。
地元紙は「マディー・リプリー、壁を破った高校生」と大きく報じ、州のニュース番組でも特集が組まれた。全国的にも、ABCニュースやスポーツ専門誌が彼女の快挙を紹介し、SNSでは「女子レスラーの未来を変える存在」との声が相次いだ。
一部では「男子と女子の体力差を考えると異例の快挙だ」という驚きと同時に、「これからは女子選手も男子部門で活躍できる」という期待感が広がった。また、メイン州のレスリング関係者は「彼女の勝利は、若い女子選手が競技を始めるきっかけになる」とコメントしている。
マディーの勝因を技術面から見ると、以下の点が挙げられる。
彼女は男子選手の攻撃を封じるだけでなく、その流れを反転させてポイントに結びつけた。特にスプロール後のリバーサルは切れ味抜群だった。
男子選手は女子相手に攻め急ぐことが多いが、マディーはその心理を利用し、焦りから生まれるミスを逃さなかった。
軽量級ではスピードが命だが、3ピリオド戦い抜くにはスタミナ配分が重要。彼女は序盤を耐え、中盤以降に勝負をかける戦略を徹底していた。
この勝利をきっかけに、マディーは大学からも注目される存在となった。全米女子レスリングの強豪校からリクルートの声がかかり、将来的には国際大会への出場も視野に入っているという。本人はインタビューで「男子に勝つことだけが目標ではない。レスリングの面白さをもっと多くの女子に知ってもらいたい」と語っており、その姿勢も多くの支持を集めている。
マディー・リプリーの快挙は、単なる一人の選手の成功ではなく、女子レスリング全体の地位向上に直結する歴史的瞬間だった。そして、この物語は今後も、多くの若い選手たちにとっての指針となるだろう。
女子レスラーが男子に勝利した注目の実例
・マディー・リプリー(メイン州)―男子を制した二冠王者
・オードリー・ヒメネス(アリゾナ州)―男子部門初制覇の歴史的快挙
・エンマ・ブラントン(カンザス州)―男子シード選手を次々と撃破した挑戦者
・クロエ・ディックソン(アイオワ州)―ジャイアントキラーと称された女子レスラーの劇的勝利
・ジャスミン・ロペス(ミシガン州)―中重量級で男子強豪を破ったパイオニア女子レスラー
・レイチェル・サンダース(ペンシルベニア州)―男子中量級を制したパワフル女子レスラー
・女子レスリングの歴史的パイオニアと大学レベルでの男女混合練習の実態